みんなのブログ - 積み上げていく

海を越える看護団

積み上げていく (2019-5-6 3:02:09)
数年前、社長に頼み込んで、長野県伊那市にある"かんてんぱぱ"という会社へ見学に行かせてもらったことがある。この会社は地元でもとても人気があり、今では就職するためにはすごい倍率を勝ち抜かねばならないらしい。 自然の中にあるその会社は様々な面でとてもしっかりとした管理教育がされ魅力的な会社だった。 ある工程の施設を見学したときに、独特な機械を見せてもらう。なぜ、こんな凄い機械を作り上げることができたのだろうと感心した。それこそ東大や京大等の一流大学出身の人たちが集まって作ったものではない。地元の人たちを採用し、その人達が改良に改良を重ねて作り上げたものだ。 私たちはそのでき上がった最終形のものを見て「凄い!」と唸り、感心する。 しかし、こういうレベルの高い機械も一つひとつの地道な努力の積み重ねでできていることに、なかなか思い至らないものなのだ。 数百メートルの高層ビルも、一つひとつの資材の積み重ねを一階部分から行い、時間と労力をかけ、やがて高層ビルが完成する。 しかし私たちはやはりでき上がったビルの姿を見て感心してしまうのだ。 そうして「とても自分にはこんなものは作れないのだろう」と諦めてしまう。 私たちの様な外科医の技術も同じ。「こんな凄い手術は自分にはできない」と学生の頃は思ってしまう。 私が手術の時、どのように考え、そのやり方やアイデアを採用し、その後その状態をどの様な視点で見ているかを現場で話す。 なかには言っている意味がチンプンカンプンの人もいる。どこをどう扱ったらそのような発想とかそのようなやり方をできるようになるのか?全く想像外に感じ、諦めに近い感覚になる人もいる。 どうせ自分は医者ではないからとか、専門家ではないからと言い訳をしながら思考を停止させる。 そういう人間は生涯、そのレベルには立てない。そのレベルに立てないという事は、少なくとも私よりも患者たちに危険を与える存在であり続けるということになる。 でも、振り返ってみると約30年弱前の私は、数日前までは学生だった身で、現場の事など何も知らず、そしていましがた医者になった、そんな存在だった。 毎日毎日、少しづつレンガを積むように経験や知識を諦めずに積み上げ今の姿や能力がある。そしてそこから生み出される考えやアイデアを社会に放散している。 しかし、周りの人間は今、放散しているものだけを見て、自分には無理だと、自分は分からなくてもいいのだと勝手に思い込む。結果、知らぬ間に患者たちにリスクを背負わせる。 今の私の状態は、決して順風に楽々とでき上がったわけではない。努力はもちろん大変な思いもしたし、惨めな辛い経験も何度も何度も経験して何とかやっとでき上がったものなのだ。 だから、私以外の人も一つひとつレンガを積むように、諦めずに確実に積み上げていくしかない。時間をかければやがて私のレベルなどは簡単に到達してしまうだろう。 他人が努力の末に到達した”結果”の部分だけを見て、自分には無理だなどと諦めずにさえいれば。 フラストレーションこそ、素晴らしい未来への燃料になる。 自分のレベルが低いと思うならば、自分の現状に満足できないのならば、今から始めるしかない。 始めるのに、今より最良の開始時期はあなたの人生にはないのだから。
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