さよなら、またね

言葉のひとつひとつが、しっかりと自分の中へ入ってくるような感じ。柔らかなタッチの絵の中へすーっと引き込まれていく。静かであたたかい世界だ。
「人は死んだらどうなるの?」
主人公の男の子は、友達が亡くなったことに気づいていた。けれど、大人たちはそれを隠していたのだろう。小児がんの子どもをもつ親にとって、子どもの死はとても身近な問題である。それゆえに、子どもと死について語ることを恐れる。「ボクも死ぬの?」「人は死んだらどうなるの?」子どものまっすぐな質問に答えるだけの余裕がないのだ。
まだ次男が白血病で入院し治療を受けていた頃、私は「かずきは死なないよ」と答えていた。うちの子は絶対に死なない、死なせたりしない・・・自分に強く言い聞かせて気持ちを奮い立たせ、頭の中から「死」「再発」「予後不良」という文字をかき消す毎日だった。答えを準備することが難しかった。
けれど、友達との別れは突然やってくる。嘘の説明をしたところで、子どもたちは見抜いていることが多い。友達が亡くなったという事実を伝えれば、子どもは悲くて立ち直ることができなくなると思っていた。でも本当は、子どもに話す勇気がなかったのだ。ショックを受けた子どもを受け止める自信がなく、子どものためといいながら自分を守っていたのかもしれない。
「本当のことを知りたい」
友達は亡くなったの?
どうして隠しているの?
どうして嘘をついたの?
「でも、こわくて聞けない」
聞いたら、お母さんは怒るだろうか。
本当にもう会えなくなってしまったのだろうか。
ボクはその事実を受け止められるのだろうか。
きっといろんな思いを抱え、「本当のことを教えてくれる相手」を探していたのだろう。そしてこの絵本が、その「相手」のひとりになってくれると思う。子どもと、「死」そして「生きること」について考えるきっかけをつくってくれる。静かな場所で手に取って読んでもらいたい。(輝く子どもたち@はな)
絵本「さよなら、またね」の予告Movie --YouTube--
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=HQLm99zH0JQ
TOMOYAARTS(イラスト)
発売:2011-11-19 | 投稿:2011/12/03 | 閲覧数:6403
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